タイトル未定

実家の2階って、なんだか落ち着きます。

私がまだ家にいた頃、つまり高校生までは、祖母、父母、きょうだいの3世代で住んでいました。そのため、我々家族は2階、祖母は1階と自然と住み分けるようになっていました。

もちろん、祖母と仲が悪かったわけではありません。小さい頃はよく遊んでもらいましたし、小学生くらいまでは、本当によくしてもらいました。

中学生くらいからでしょうか、だんだん祖母のいる生活が当たり前になってきて、友達と遊んだり部活に行ったりする生活も当たり前になってきて、さらに勉強やゲームが楽しくなってくるお年頃だったので、家にいる時間は2階の部屋に閉じこもって過ごしていました。祖母は2階に上がってこられないからです。祖母は祖母で、ご近所さんとみかん狩りや温泉や畑仕事に井戸端会議、婦人会やお寺の寄り合い等々忙しくしていましたので、そんなに気にしていないようでした。少なくとも私にはそう見えました。

そんなこんなで、1階と2階の住み分けも当たり前になってきた頃、私は高校を卒業して、実家を出ました。

 

祖母の話は色々あるので、気が向けば別の機会に。

 

私がしたいのは実家の話の方です。

家を出た私は、たまに帰省します。帰省って、本当に変な感じです。今まで自分の居場所だった2階の部屋はタンスや段ボールが置かれるようになっていて、なんだかそわそわします。

そして、どの部屋も全体的に小さく見えます。高校生の頃から体格は変わっていないのに、なぜなのでしょう。一人暮らしを始めてからの殺風景な部屋に見慣れているためか、本にCD、ダイニングテーブル、ピアノ、テレビ、キッチン、ベッド、いろんな当たり前に囲まれて生きていたことが、まるで奇跡のような、まるで前世のような、まるで夢のような気がしてくるのです。

今でも帰省すると、お風呂のあとに部屋の座椅子に腰掛けて、天井を見上げます。

あの頃と同じ景色を見ているはずなのに、こんな気持ちになったことは、一回もなかったなぁ、なんて、これが郷愁ってやつかな、なんて。

でも多分私のことだから、あの頃1回は想像してみたはずです。家を出た後に帰省して同じ座椅子に座ったときに私が抱きそうな感情を。

でもその想像の内容さえ忘れてしまうだけの時が流れてしまいました。

ああ、なぜこんなに落ち着くんだろう。物音1つしない。静かすぎる、暗すぎる実家に、ほら、私が戻ってきたよ、って、誰かに伝えたくなるし、でも、誰にも教えたくない、そんな、変な気持ちです。

 

 

さぁ、また明日には戻らないといけません。

実家を出て、現実に。戦いの場に。これからの私に。