帰無仮説、というより余事象
桃太郎は、あそこでおばあさんが桃を拾わなかった場合、そのまま川を下り、海へ出て、運良くいけば(または運の悪いことに)鬼ヶ島に漂着する可能性があります。
蓋然性は高くはありませんが、可能性はあります。
特に、これが物語の場合、その蓋然性は往々にして高いものと思われます。自論ですが。
その場合、桃から生まれた桃鬼太は、自分をこの世に誕生させてくれた鬼に加担し、村人を襲い、その財産を強奪する側に回るかもしれないのです。鬼に金棒です。
おばあさんがあの日あの時間に川へ洗濯に行き、どんぶらこどんぶらこと流れる桃に気づくことができたのは、まさに奇跡的なタイミングです。
何気なく、完結していると思っているお話も、実は偶然の上に成り立っていて、また別の偶然が起こっていたら、全く別のお話になっていたかもしれないということを考え始めると、つい楽しくなってしまいます。
そう思いませんか?