すごくプライベートな話

本を読むのが好き。

でも、読み方や読んだときの感じ方は、昔の私とは違います。

昔は、ただ読んでいました。頭の中のどこかに、その物語の空間を作り上げ、その中に登場人物を配置して物語をただ楽しんでいました。

そのため、1冊読み終わって次の本に移ると、以前作り上げた空間は消滅し、新たな空間に置換されていました。

 

今は違います。空間を作り登場人物を配置するのは相変わらずですが、ここにあと2人の人物を追加します。

1人目に、物語を客観視する立場の「自分」を登場させることで、溢れんばかりの臨場感を楽しむことができるようになりました。

また、2人目として作者を登場させることによって、登場人物の機微というか、つまり作者が言いたいことは何かを具体的に追えるようになりました。

 

これは、物語を読む上では、ある意味では不幸です。その物語を、そのまま受容することができないからです。常に自分の解釈を挟みながら読み進めることになります。どのような読み方が一般的なのかわからないけれど、私にとっては最近身につけた読み方であり、それを最近不幸だなと感じることがあるのです。

 

しかし良い点もあります。臨場感の裏打ちによって、思い出したい場面をより鮮明に思い出すことができる点です。これはもちろん、文章を一字一句思い出せるという意味ではありません。その場面を読んだときに頭の中に構成した映像を、後になっても想起できるという意味です。ともすると、「不意に頭の中に現れたどこか懐かしいような映像が、よくよく考えてみたら読書中に作り上げた世界のワンシーンだった」なんてことが起こるようになりました。これは個人的に嬉しいことです。「あの名場面をもう一度」といった感覚です。

 

ところでなぜこのような変化が現れたのでしょうか。

それは、私が作者の年齢に近づいているからでしょう。

作者に近い考え方ができるようになったからでしょう。少なくとも子供のときよりは。

 

あなたはどんな読み方が好きですか?